一般的に会社は、仕事の効率を追求するための最適な組織を目指す傾向にある。会社は分業制になっていて、各分野にはスペシャリストが存在する、たとえば、営業をするとき、会社はまず見込み客をつくる。ダイレクトメールを送ったり、イベントをやったり、コマーシャルやパンフレットをつくったりして下地をつくる担当者がいるのだ。営業マンが動き始めるのはそのあと。商談が上がってきたときだ。
これはたしかに効率がいい。しかし、会社が何かの形で存続不可能になったとき、特殊、なしかつくれない人も、商談がないと売れない営業マンも、明日から仕事を失うことになる。そういう意味で、「プロ」になるということは、スペシャリストになるということではなく、「フリーでもやっていける能力」をもつことだと私は考えている。
だからわが社では、分業という形を採用していない。ダイレクトメールをつくるときも、七割ぐらいは専任のスタッフがつくるが、三割はその他の人間がやる。
営業スペシャリスト
この方法は、売り上げをあげるとか、利益を出すとかという点では効率が悪い。しかし 営業担当者に営業ばかりやらせていると、営業のスペシャリストにはなれでも、別の能 力が伸びなくなってしまう。
ほとんどの会社は効率重視だが、社長の立場から言えばその選択は正しいだろうから、同じ社長としてその気持ちはよくわかる。個々の得意分野や長所を伸ばしたほうが、生産性は上がるだろう。
一点になることは不可能に近いしかし、万が一、会社がつぶれ、自立して仕事をしなければならないという局面に立たされたときには、営業だけではなく、たとえば見込み客づくりなど、みずからの専門以外の仕事もできる能力が必要になる。
